100枚プリント第8集「ことばのクロスワード」について
2008年秋に発売したプリント集です。身近な事物や事柄についての定義を学習する教材です。「定義」という言葉を辞書で引くと、「物事の意味・内容を他のものと区別できるように、言葉で明確に限定すること」(大辞泉)とあります。たとえば、プリントの問題にもある「えんぴつ」であれば、まず筆頭に「筆記用具の一つ」と大括りされ、その後に、「木の軸に黒鉛の粉末と粘土を混ぜ、高熱で焼き固めた芯を入れたもの」という説明が補足されます。「ことばのクロスワード」での、「えんぴつ」の説明(定義)は、「字を書くもの」ですから、辞書の第一義の説明にほぼ対応していると思います。しかし、もちろん、この説明だけでは、鉛筆とは同定できないため、文字数や、縦軸に完成する単語との相関で、「えんぴつ」と決定するようになっています。もし、ヒントクイズのような遊びの中で、「字を書くものだよ」というヒントを出し、相手が「ボールペン」と答えたら、出題者は、どうするでしょうか。たぶん、筆記具というカテゴリーまでは、解答者が辿りついていることを洞察して、「ボールペン」と「えんぴつ」を峻別し、さらに、より「えんぴつ」に特定した特徴を、追加するはずです。「芯がおれるもの」「削って使うもの」などの第2ヒントで、解答者は、「えんぴつ」という答えにほぼ迷いなく、辿りつくことができるでしょう。◆相手に何かを伝える場合、必ずしも、最初から、過不足のない最良な説明(表現)がなされるわけではありません。対話者同士が歩み寄り、相互交渉の中で、理解が形成されます。情報伝達は、よく、A→Bという図式で示されますが、実際は、A-Bという関係の中間に、存在するものだと言えます。今回の教材は、相互交渉による情報の同定は、行うものではありません。しかし、いくつかの関連情報から内容を特定する、という思考作業を通して、「プロセスを経た理解の形成」を体験してもらえればと考えています。
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